平成20年度現地研修会報告(4)

2008年12月13日
大貫 仁人

(2日目つづき)
 松阪市へ向かう名阪自動車道を東走する車内で、会長から、大日本山林会が戦後の復興期から30年間にわたって行った伊勢神宮宮域林神路山における「造林・育林奉仕」活動の概要の説明が為された。配った資料は、『山林』No.812(昭和27年1月号)、No.820(昭和27年9月号)、No.924(昭和37年11月号)、No.1161(昭和56年1月号)の奉仕団員募集広告のコピーである。その概要は以下の通りである。

「伊勢神宮林造林奉仕林業講話会」の概要
①奉仕期間:昭和27年(第1回)~56年(第40回)の30年間
②参加者総数:総勢10,238人
③新植面積:531ha(166万本)(現在55年生~25年生)
④育林奉仕:枝打ち約100ha(17万8千本)、 間伐約19,500本
⑤参加者:全国の会員有志、営林局署関係、都道府県林務関係、農林学校等教育関係、森林組合、青年会や婦人会など地区ごとの団体、個人等多種多様な方々
⑥各参加者に要求されたもの:白米(1食2合の割)と作業服・脚絆・地下足袋の持参、内宮前までの往復に要する費用は一切自弁
⑦当奉仕活動の目的と立ち上げ

 当時の会長・三浦伊八郎氏(第11代、S25.3~S46.10)の発案による。大戦後の傷嘆した世相の中で、国民特に青少年が神宮宮域林の御造営用材育林事業に参加し、林木の植栽や育林を研修体得することにより崇敬の念、建設的精神、国土緑化思想を啓発していくことを念願した。
 昭和26年に神宮司庁と打ち合わせ。昭和27年より春の植栽、秋の枝打ちを実施。
⑧その他特記すべき事項
○当時の大日本山林会総裁・高松宮殿下は、伊勢神宮の御造営用材確保に深く意を注がれて、この造林奉仕には、5周年(S31.10.28)、10周年(37.3.25)、20周年(S46.3.8)の3回、親しくお出ましになられ、ヒノキのお手植えをなされました。
○昭和37年3月:神宮宮域林造林10周年記念式典と神宮宮域林造林奉仕・植樹研修事業功労・功績者表彰が行われた。
○平成9年3月:神宮司庁のご厚意により「造林奉仕記念碑」が、神宮宮域林内の神路山事業所(当時事業所に併設の山泊施設があった場所)横に建立された。

 伊勢自動車道を松阪インターで降りると、まもなく松阪木材コンビナート「ウッドピア松阪」に到着した。ここ松阪地域は全国有数の国産材集散地で紀伊半島の豊富な森林資源を背景に発展してきたところであるが、時代に乗り遅れないようにと先進的な木材総合流通加工基地づくりを進め、この「ウッドピア松阪」が整備されたとのことである。
 面積41haの団地に、原木市場、製品市場、販売センター等の木材流通関係施設と大型製材、集成材、内装材、プレカット、チップ等の木材加工工場が効率よく配置されているまさに木材総合流通加工基地である。昭和63年に構想され、平成10年に造成工事、平成11年に施設整備に着手し平成13年に開業したとのことである。
 ウッドピア市売協同組合の事務所のある建物の前でバスを降り、会議室へ通される。そこで、理事長の中川氏から 「ウッドピア松阪」の概要について、原木市売りを中心に話を聞く。原木市売り毎週水曜日、月に一度の特別市を開催しているとのこと。取扱量は年間スギ4.2万?、ヒノキ3.8万?程度で、原木は100%捌けてはいるが、価格は昨年に比べて下降状況にあるとのこと。原木の供給は4社が中心で、森林組合連合会や全国からも持ち込まれ、売れ先も全国的であるとか。全体的な施設整備は未だ推進中で、バイオマス関連は平成21年から稼働予定であるとのこと。
 この後、工藤氏の案内で広大な敷地を占める原木市場に案内され、11月の特別市のために集荷されつつある原木の山を説明を受けながら見学した。

  • 中川氏の説明を聞く参加者
    中川氏の説明を聞く参加者
  • 原木市場の様子①
    原木市場の様子①
  • 原木市場の様子②
    原木市場の様子②
  • 乾燥施設の見学
    乾燥施設の見学
  • 原木市場の様子③
    原木市場の様子③
    (遠景に組合の事務所が見える)

「ウッドピア松阪」を後にして、再び、松阪インターから伊勢自動車道に乗り、2日目の宿泊地「神宮会館」(伊勢市)に向かう。スケジュール通りに宿に到着し、早速、2日目の勉強会を神宮会館会議室で開催した。(報告(5)につづく)

平成20年12月 会長 大貫仁人