平成22年度「林業経営“創意工夫”賞」決まる

2011年4月29日
大貫 仁人

 東日本大震災は、三重災害(巨大地震・大津波・原発事故)であり、その爪痕の大きさ・影響の膨大さにただただ驚いています。死者・行方不明者の合計数は、震災と共に増え続け、震災発生後既に50日に経つのに、なお止むことがありません。 
 改めて、この震災でお亡くなりになりました方々のご冥福をお祈り申し上げます。
 また、被災された皆様や関係者の皆様に対しまして心からお見舞い申し上げますと共に、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
 農林水産省発表の林野関係被害は平成23年4月4日現在、林地荒廃、治山施設、林道施設、森林被害、木材加工・流通施設、特用林産施設等で969億円ということですが、今なお、本震による歪みの調整中で大きな余震も頻発しており、土砂災害の危険も増大して、まだまだ被害の拡大が憂慮されているところです。

 さて、当会が公益法人の認定を受けるために新たに定めた定款において、新たな事業として平成22年度から開始した事業が「林業経営“創意工夫”表彰行事」です。
 去る3月の審査委員会で審議し、その後の常務役員会で決定した3賞は次の通りです。

平成22年度「林業経営“創意工夫”賞」

優秀賞 2点 ①「顔の見える木材での家づくり(木流研システム)」
②「林業経営収支予測システム(FORCAS)」の開発
奨励賞 1点 ①「T字型定規」の開発

 上記の表彰式は、平成23年度総会(平成23年5月27日)で行い、総会の議事の終了後、各受賞者から、出展材についての内容説明と、これらの技術やシステムが如何に林業経営に役立つかを宣伝して頂くことを考えています。

以下に受賞作品の概要を紹介します。

優秀賞

①「顔の見える木材での家づくり(木流研システム)」
 日光木材流通研究グループ(代表者 齊藤正氏(栃木県))

 概要:山側主導のネットワーク(林業家、原木市場、木材業、設計業者)による「顔の見える木材での家づくり」。山側からのアプローチを重視した木材供給体制を構築。顧客に究極のトレーサビリティを提供し、質の高い顧客満足度を獲得し、顧客を年々増やしている。SGECによるFM認証とCoC認証を取得しネットワークの基盤を固めている。
 顧客満足度の獲得の一例:建て主が大黒柱や大梁となる立木を選木、伐倒し、丸太からの木取りを決定。伐根の木口にサイン、記念撮影。伐倒木の枝葉から挿し木苗を育て植樹。
 CoC認証による「棟別発注」、「棟別出荷」、「棟別加工」の地域内一貫ネットワークの稼働。

②「林業経営収支予測システム(FORCAS)」の開発
 FORCAS開発グループ(代表者 松本光朗氏(茨城県))

 概要:小班(林分)レベルで間伐から主伐までを見通したトータルな収支を予測するパソコン用プログラム。FORCASとは、FORest management CAsh forecast Systemのこと。ほとんどのWindowsパソコンで、表計算ソフトExcel上で作動する。ソフトは、http://www2.ffpri.affrc.go.jp/labs/FORCAS/index.htmlからダウンロードできる。
 対象小班における林分調査の結果を入力すればOK。間伐の時期、回数、強度、方法、及び、主伐時期を自由に選択、指定すれば、どのような丸太をどの位生産できるかが予測でき、また、収穫システム(林内車両車型、集材機型、タワーヤーダ型等)を指定すれば、収入・支出が計算できる。
 このFORCASを使えば、施業計画やコスト条件を変えながら、収支予測や収支の比較を簡単かつ迅速に行えることから、何時、どう伐れば良いかなど、目的に沿った計画立案が容易にできるようになる。

奨励賞

①「T字型定規」の開発 飯干福重氏(宮崎県)

 概要:間伐木を確実に狙った方向に伐倒するための道具で、アルミ製のT字型定規(全長70~80cmで軽量)。伐倒するときの受け口を正確に切り込むことを支援する道具。これを使うことで、伐倒経験の浅い作業者でも確実に狙った方向に伐倒することが可能となる。懸かり木の未然防止に役立ち、安全性の向上と作業の効率化に寄与する道具。

以上

 当山林会としても、これらの技術やシステムが林業の現場で広く使われるよういろいろと努力する所存です。皆さんのご理解とご協力をお願いします。

平成23年4月 大貫仁人