会長就任にあたって

2011年7月28日
箕輪 光博

 このたび、130年にも及ぶ長い歴史を有する大日本山林会の会長を仰せつかり、身の引き締まる思いです。微力ながら、小林・大貫両名誉会長がこの10年間に敷設された「布石」を土台に、より開かれた山林会をめざして努めて参る所存ですので、ご支援・ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。
 さて、本会は、昨年10月に公益社団法人として、4つの公益事業(①普及啓発事業、②調査研究事業、③保有山林の利用事業、④文献センター事業)を掲げて、「公益丸」として初航海に船出しました。つい最近、その経過及び成果を内閣府に提出したところです。ここに至るまでの数年間の職員一同の努力に対して、衷心から御礼を申し上げます。また、側面から応援を頂きました理事・監事、旧評議員、参与、並びに多くの会員の方々に、あらためて感謝の意を表します。公益法人の名に恥じないように、外部に向かっては信頼性の高い公益活動の展開を、内部に向かってはコンプライアンスの確立と融和のとれた職場環境の形成を目指して、バランスのとれた山林会の運営を図っていきたいと思います。
 ところで、本会が創立されたのが1882年(明治15年)、それから33年を経た1915年(大正4年)に社団法人として新たな出発をし(二度目の転換期)、そして今日公益社団法人として三度目の転換期を迎えているわけです。二度目の転換期当時は、第一次世界大戦が勃発し、日本経済が一時的に好況を呈する一方で、明治以来の近代化政策が行き詰まりを見せ始めていた大転換期の時代でした。また林業界も、近代化政策の一環である国有林の特別経営事業が一段落し、代わって公有林野の整理や造林奨励事業が開始されるという「転換期」を迎えていました。そして、今、日本経済の低迷、民主党政権の登場、東日本大震災、それに伴う福島原発問題などが大きな社会問題になる中で、わが林業界は、林業の低迷、戦後の近代化政策の行き詰まりを目の前にして、再び、「平成の森林・林業維新」時代を迎えようとしているわけです。それは、本会にとってもまさしく第三番目の転換期であり、このような社会及び林業界の変容に対してどのような対応するのか、鼎の軽重が問われております。
 最後に、繰り返しになりますが、このような時期に会の運営の責任者となり、その重さを痛感せざるを得ません。民間林業の振興という定款の基本精神に則り、職員・会員の方々のご協力の下で公益丸が座礁しないように舵取りに努める所存ですので、産官学・民世界の応援のほどよろしくお願い致します。

2011年7月 箕輪 光博